全身麻酔薬

薬理

 全身麻酔薬では、吸引麻酔薬と静脈麻酔薬を併用することで、薬剤の効果を最大限得て、かつ副作用を減らす。(バランス麻酔)
 不規則性下降麻痺であり、①導入期:大脳皮質(痛みの消失) → ②発揚期:大脳皮質(意識の消失) → 間脳 → 中脳 → ③手術期:脊髄(骨格筋弛緩) → ④中毒期:延髄(呼吸抑制) の順に作用する。

吸引麻酔薬

揮発性麻酔薬

 揮発性麻酔薬には、ハロタンエンフルランイソフルランセボフルランデスフルランがある。

ゴロ

笑えん、麻酔を急いで背骨がdeath

笑  :ハロタン
えん :エンフルラン
麻酔を
急いで:イソフルラン
背骨が:セボフルラン
death :デスフルラン

ガス性麻酔薬

 ガス性麻酔薬には、亜酸化窒素(笑気)がある。最小細胞内濃度(MAC)が大きい。

静脈麻酔薬

バルビツール酸誘導体

 バルビツール酸誘導体には、チオペンタールチアミラールがある。GABAA受容体のバルビツール酸結合部位に結合。
 硫黄を含有するため脂溶性が高く、脳以外の組織へ再分布するため、作用持続時間は短い。ただし、体内からの排出は、肝代謝によって行われる

ベンゾジアゼピン誘導体

 ベンゾジアゼピン誘導体には、ミダゾラムがある。GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合。呼吸抑制を引き起こす。(フルマゼニルで解毒)

オピオイド鎮痛薬

 オピオイド鎮痛薬には、モルヒネフェンタニルレミフェンタニルがある。呼吸抑制を引き起こす。(フルマゼニルで解毒)
 レミフェンタニルは、非特異的エステラーゼによって代謝されるため、作用持続時間や血中半減期が短い。また、体内に蓄積しにくい。
 フェンタニルとドロペリドール(D2遮断薬)の合剤は、神経遮断性麻酔薬となり、鎮痛・鎮静作用は示されるものの、意識は保たれる。

その他

 その他の静脈麻酔薬には、プロポフォールケタミンデクスメデトミジンなどがある。

プロポフォール
GABAA受容体を活性化
・導入と回復が速い
・蓄積効果がないため、持続静注で維持

ケタミン
NMDA受容体に拮抗
解離性麻酔(大脳皮質は抑制、大脳辺縁系は覚醒)

デクスメデトミジン
・α2受容体作動薬
・自然睡眠に近い鎮静作用

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